最近人気の曲げわっぱの弁当箱
メリットデメリットさらにお手入れ法も
曲げわっぱは大分メジャーになりました。
誰もが知っている伝統工芸のひとつといえますね。
その人気は木のもつ風合いがいいからだけでなく、やはり器の基本、「ご飯が美味しくなるから」です。
先日、新米を美味しく炊くコツの中でご紹介した、ご飯を美味しく保存する方法でも書きましたが、ご飯の美味しさを保つ秘訣は水分量です。
塗り加工をされていない曲げわっぱは、ご飯の水分量をうまくコントロールしてくれます。これにより、冷めてもご飯の味が美味しく保たれ、さらに秋田杉の殺菌効果もあり、ご飯が傷みにくくなっているのです。
もう少し曲げわっぱの特徴についてご紹介していきましょう。
曲げわっぱのメリット・デメリット
曲げわっぱは近年の弁当ブームや、普段のお弁当がワンランクアップしたように思えるため、写真映えすることから少しずつ人気が高まり始めました。
あらためてそのメリット・デメリットを確認していきましょう。
★メリット★
- 香りがいい
- 殺菌効果がある
- ご飯が美味しい
- 見栄えがいい
★デメリット★
- シミになりやすい
- 弁当箱は汁漏れがする
- コストが高め
曲げわっぱは白木と塗装のものとがあります。
ご飯を美味しくするのは白木の方。
白木は木の素材の良さをそのまま活かせますが、シミになりやすく、汁気が多いものや油ものは避けた方が無難です。
また、塗装のものも含め、レンジにはかけられません。
曲げわっぱの洗い方
1.水ですすぐ
汚れをある程度取り除くためです。
2.たわしで洗う
粉末のクレンザーでごしごしと木目にそって力を入れて洗います。
※中性洗剤の使用はNGです。
3.よくすすぐ
よく水洗いし、ふいてあらかじめ水分を取っておく。
4.乾かす
内側を上にむけるようによく乾かす。
使っているうちに黒ずんできますが、これはカビの場合もありますが、ちゃんと乾かしているのであれば、米のでんぷん質と木の成分が化学反応を起こしたためだそうです。
木目にそってたわしでごしごしすると、木目がくっきりを浮かび上がってき、とても美しい風合いになるのです。
器は陶器も同じですが、最後は使い手が仕上げるんですよね。
曲げわっぱの使い方
おひつなどは曲げわっぱ(白木)がおススメです。
ご飯を美味しいまま、傷みにくいので保存に最適です。
ではお弁当箱は?
最近ではウレタン塗装のものや、レンジでも使えるように加工したものもあります。用途に応じて選べばいいと思いますが、個人的におすすめするのは白木です。
たしかにウレタン塗装のものは油ものにも強く、お弁当箱には適しているかもしれませんが、ご飯を美味しく保つ効果は薄くなります。
「ご飯が冷めても美味しい。」
これで曲げわっぱの人気は上がりました。
でも油ものも、煮物もお弁当に持って行きたいですよね?
おススメの使い方はおかずをタッパー式の器にいれ、白木の曲げわっぱ弁当箱にご飯を入れる。
フォトジェニックには程遠くなりますが、好きなおかずを持っていけて、ご飯も美味しいままいただけます。
色々試してぜひ自分にとってもベストな方法を見出してください。
また、長くキレイな状態を保つためにも、使い始めはよく水につけましょう。
曲げわっぱの歴史
曲げわっぱの歴史をお伝えしておきます。
秋田では、大館で作られています。材料は秋田杉。
きこりが切った木材の皮で器を作ったのがはじまりだそうです。
そののち、武士の内職になり、その技術は細やかな匠の技となって、1980年、日本伝統工芸に指定されました。
曲げわっぱのメーカー「柴田慶信商店」の公式サイトで印象的な文章があったので引用させていただきます。
秋田杉が本来持っている吸湿性、芳香、殺菌効果によってご飯の味を生かすということよりは、汚れず扱いやすくスポンジと中性洗剤で洗えるような曲げわっぱになっていきました。
私自身もそのようなことに迷いを感じなかった頃、こどもの運動会に持参した、周りが羨むほど華やかな自慢の曲げわっぱに詰めたお弁当をいざ口に入れたらウレタン塗装の臭いで食べられませんでした。
自分で作っておきながらこの日この時までその臭いに気付かなかったのです。
そこで改めて本来の白木の大切さを痛感し、ご飯を入れる器は「白木」でなければならないと肝に銘じました。
白木の曲げわっぱはご飯の水分を程よく吸収し、冷めても美味しく、天然秋田杉の香りが食欲をそそり杉の殺菌効果でご飯が傷みにくくご飯を詰めてから常温で一昼夜も痛まず持つほどです。
まずこのことを大切にし、素材と仕上げは曲げわっぱを使用する場面によって適材適所を常に考えながら、日々制作しております。
この作り手の思いが、今は世間に見直され、新たなブームとなっています。
このブームが一過性のものでないことを祈るばかりです。
一生ものの暮らしの道具。
ちょっと頑張って使ってみませんか?