江戸扇子が現在も人気の理由
最近はサラリーマンの方でもスーツの内ポケットに扇子を入れて持ち歩く、なんて方も多いそうですね。
近年は一年で気温の高い日も多くなり、手軽に持ち歩く扇子は、外国人のみならず、老若男女持ち歩く人が増えたように思います。
そんな扇子、京扇子・江戸扇子といったものがあるのをご存知でしたか?
ルーツは京扇子、京都で作られた扇子です。今や国の伝統工芸にも指定されています。
歴史は古く、奈良時代から。当時はあおぐためのものでなく、文や歌、さらには覚書などをしたためるためのものでした。
古代ヨーロッパの貴族も扇をもったイメージがあるかと思いますが、発祥は日本と言われています。
ではその違いは?というとそんなに大きくは違いません。
扇骨と呼ばれる骨の本数が京扇子のほうが多い傾向にあるのと、紙部分の面積が京扇子のほうが狭いものが多いです。
絶対な違いはありませんが、素材も江戸扇子には京扇子のような絹などの布の素材は見かけません。
江戸扇子の特徴って?
江戸扇子の魅力は何と言ってもそのデザインの豊富さと個性。
実際、手に取るとその柄の面白さ、見る角度によって色が変化してみえるものなど、即決できないほど種類は多いのです。
骨の色だけみても白竹や少し塗りのものなど多種多様。同じ柄の扇でも、骨の色が違うだけで、全然見え方が違ってきます。
京扇子に比べ、その柄は本当に幅広い。
絵柄はもちろん、パターンのような文様から無地のものまで。
自分の好みに合わせて選べる仕様になっています。
1本20,000円のものも?!
最初に驚くのはその値段の高さかもしれません。
概ね1本12,000~18,000円くらいします。
中には20,000円以上のものも。
「なんでそんなに高いの?」
当然ですよね。
今や100円ショップでも買える扇子です。
もちろん、理由はあります。
材質と工程です。
京扇子も江戸扇子も全行程を一人の職人で行うことはありません。
(江戸扇子は京扇子に比べると、あまり細かく分業化はされていませんが)
それぞれの職人さんがプロの技で仕上げたものの集大成となっています。
例えば「色引き」。扇面に色を入れる事を「色引き」といいますが、これが引いては乾かしの繰り返しで、この作業だけで数日かかります。
紙は最近では純和紙を使うことは少なくなってきましたが、それでも一般的な紙は使用されません。そのため、上部で、いつまでもよれたりしません。
蛇腹にきれいな折り目を入れるにも一昼夜かかります。
扇骨は京都の竹からできていますが、竹をまっすぐにし、(最後は両サイドの部分を内側にまげるのですが)きれいな扇として開閉できるよう組みます。
中には漆による塗りの工程をふむものも。
そう、1本の扇子ができるまでの工程(日数)が、とてつもなく長くかかるのです。
最近は海外で作られた機械でつくられた扇子が主流となり、職人さんの数も激減しました。
扇子の選び方
江戸扇子は両サイドのしまりの部分が内側に曲がっているので、扇子を閉じるとき、最後の一目を閉じるときにパチンと心地のよい音がします。これは紙がしっかりしていることと、骨のならびがぶれていない証拠。
また大きさですが、男持ちと女持ちがありますが、最近ではあまりこだわらなくてもいそうです。
白竹(まったく塗りの加工がされていない)骨は、安価ですが、やはり汚れがでてくるそうです。
気になる方は少し塗りの加工をされた骨を選びましょう。
扇の部分に柿渋をつかったものがあります。無地で単色で色がひかれているものが多く、一見つまらなく思えますが、年数がたってくるとだんだん色が渋く変化してくるそうです。
自分仕様の色に変化してくるんですね。
職人さんから購入した扇子は扇部などがやぶれたりしたら張り替えてくれます。
なので、一つの扇を10年も20年も使う方も多いそうです。
10,000円以上もするくらいなら、安い扇子を毎年買いかえればいい話と思いますか?
まあ、そこはお好みかもしれませんが、お洒落な服や着物を着て、100円ショップの扇子ではちょっとさみしいですね。
そこは扇子だけにセンス次第!
あ、それから購入時についている輪っかは、捨てずに保管するときはちゃんと扇子に装着しておいたほうがいいそうです。職人さんからのアドバイスです。
天然材質を使用した扇子の場合、湿度で沿ったりしてくる可能性があるからだそうです。
お忘れなく。
ちなみにですが、扇子をしまう箱や引きだしなどにお香を一緒にいれておくと、香りが扇子に移り、あおぐたびいい香りが楽しめます。
これが結構長持ちしますよ。
また、これはうちわにも言えることですが、しっかりした骨と紙でできたものは、風力が違います。(バタバタあおがなくても、風をかんじられます。)
本当?と思ったら、一度試してみてください。