11月は茶の湯の正月
あらためてお茶の飲み方と効用を見直す
茶の湯の世界の正月は1月ではなく、11月とされています。
炉開きといい、春・夏の風炉から炉が開き、
新茶の入った茶壷の口切りの茶事を行います。
煎茶においては、その年の最後の新芽、秋摘み茶の時期ですね。
4~5月に摘まれたものが春の新茶で、これを一番茶といいます。その後伸びる芽を摘んだ二番茶、三番茶と続き、9月末ごろ今年最後の芽を摘んだものが秋摘み茶です。
秋の新茶とはこの秋摘み茶を指します。
春の新茶に比べ、角が取れて豊かな風味が楽しめるのが秋の新茶です。
また、夏の日差しを浴びた秋摘み茶は、健康効果も期待されているカテキン量も春の新茶より豊富です。
カテキンは抗酸化作用があるほか、生活習慣病の予防やアンチエイジング効果も期待できます。
かの徳川家康も好んだ秋の新茶。
茶の湯の正月にあたるこの月、あらためて日本茶の魅力を見直してみませんか。
目次
秋の新茶は2種類
秋の新茶には先に述べた通り、その年の最後、9月ごろに摘んだものと、春の新茶を荒茶(茎や葉を選別していない状態のこと)のまま低温で保存し、熟成させ、秋に蔵出しして仕上げたものの二種類があります。
蔵出しは抹茶の口切りもこれにあたります。
秋の新茶の美味しい入れ方
春の新茶と入れ方は変わりません。
ただ、蔵出しの中でも火入れを強めに仕上げたお茶は熱めのお湯で入れた方が風味を楽しめるそうです。
あまりそのあたりの仕上げ方まではわかりませんので、基本的な入れ方をおさらいしておきましょう。
3人分の煎茶の入れ方
1. 沸騰したお湯を一旦3人数分の茶碗にそれぞれ入れます。
2. 一息おいて茶葉大さじ2杯くらいを入れた急須にそのお湯をもどします。このとき、お湯はお茶に適した70~80℃に下がっていると同時に、茶碗も温まります。
3. 急須に蓋をして30秒~1分蒸らします。
このとき、けっして急須を振ってはいけません。
4. 3つの茶碗に順番に少しずつ回しながら注ぎます。
Aの茶碗に少量 → Bの茶碗に少量 → Cの茶碗に少量を入れたら、次はC→B→Aの順に入れてきます。3巡目はまたAから入れます。これですべて同じ濃さのお茶が入れられます。
5. 最後の一滴まで入れ、二煎目からは少しお湯の温度をあげて同じ要領でいれます。
美味しく入れるポイント
- 水は沸騰してから少しおいてカルキ臭をとります。
- 甘さを好む場合はお湯の温度を50℃くらいまで下げます。
渋みが少なくなり、アミノ酸(うまみ成分)が増します。
O157にも効果的?緑茶パワーを見直そう
O157などの食虫毒が多数発生したときに、カテキンの殺菌効果が注目されました。
カテキンは、毒素を消す解毒作用のほか、細菌の細胞膜を破壊する殺菌作用を示し、食中毒予防に大きな効果を発揮します。
飲み方は食中、食後を中心に普通に緑茶を飲むだけ。
そのほか、血中コレステロールも下げる効果があるので、動脈硬化予防も期待できます。
ガン予防にもなるということも発表されているので、手軽に飲める緑茶は、常飲したほうが良さそうですね。
他、緑茶の茶葉にもこんな効果が
飲むばかりではなく、茶がらにもいろいろな利用法があります。
一部紹介しましょう。
消臭効果
フライパンなどで茶がらをいぶすと、その煙によって部屋の消臭ができたり、その水分を完全にどばした茶葉を靴箱など臭いの気になる場所に置くと、臭いを取ってくれます。
サビ防止
鉄鍋などに茶がらでふくと、サビ防止効果が。
緑茶成分のひとつ、タンニンが鉄と結びつき、膜をつくるためだそうです。
掃き掃除
水分を完全にどばした茶葉を部屋に巻き、放棄で掃くとホコリが舞うのを防げます。
昔はこうして畳み掃除をしたそうです。
インフルエンザ予防
もうおなじみの方法ですね。
お医者さんでも実践している人が多いと聞きます。
お茶でうがい。
おしりふき
赤ちゃんのおしりふきは番茶をひたした布でふくと、臭いもとれ、肌もキレイになるそうです。
お茶風呂
個人的には本当におススメ活用法です。
お茶がらを出汁パックなどに入れて湯船に入れるだけ。
肌は潤うし、何も入れないときと比べると温まります。
また、消臭効果もあるそうなので、捨てる前にお風呂にポンとしてください。
まとめ
日本最古の茶書・喫茶養生記の「茶は養生の仙薬なり。延齢の妙術なり」の言葉どおり、元々緑茶は薬として広まりました。
茶の湯の正月といえ、いきなり抹茶を点てるのはなかなか難しいものがあるかと思います。
もっと手軽にいただける秋の新茶を飲んで、この冬風邪に無縁で過ごしましょう。
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